うさぎ島

1日の午後は「うさぎ島」と言われる大久野島まで足を伸ばしてみた。

尾道駅から三原へ行き、呉線に乗り換える。

前日の大雨の影響で呉線は大分遅れて運行していたが、それも手伝い三原駅でオーストラリア人の旅行者と知り合う。

彼女は滞在中のホステルでうさぎ島のことを聞き、わざわざ広島から新幹線で来たらしい。

呉線で忠海まで行き、そこからフェリーに乗る(重要:駅前のコンビニで人参やレタスを買うべき。ボート売り場では餌のようなものしか売っていない)。

島に着くと、いきなりうさぎのお迎えがある。

我先にと足元に駆け寄って来て、足を這い上ろうとする強者も数羽いる。

とにかく人間を恐れず、逆にご飯をくれる素晴らしい存在だとしか思われていない。

そもそも、大久野島では毒ガスを作っており、漏れた時にいち早く気づくためうさぎを配置していたらしい。

それが戦後米国軍から隠すためにガスが処分され、島自体が地図から消され、うさぎだけが残されたという、過酷な過去を持つ島である。

それが今は可愛すぎるうさぎの楽園となっているとは、何とも皮肉な話である。

ようやく桟橋付近のうさぎたちに名残惜しく別れを告げて島を探索し始めたが、戦時の名残を残す建物が数多く残っている。

どれも朽ち果てて雑草の無法地帯となっているが、今まだ屈強で禍々しいオーラを放っている。


しかし、そんな建物の中から、あるいはその崖の上から、うさぎの波がとにかく走り寄ってくる訳である。


戦時の雰囲気で沈む心と、無邪気なうさぎに癒される心。

言葉にできないギャップ感を味わえるのは、世界でも少ないのではないであろうか。

また、展望台から見える瀬戸内海の風景も素晴らしい。

展望台までは坂道がありちょっとしたハイキング気分が味わえるが、そこからの夕暮れの色合いには息を飲んだ。


すっかり夜も暗くなった頃、帰りのボートに乗り込み海を渡る。

ふと思ったのだが、万一何かのはずみでうさぎが凶暴化したら、それこそ「ジュラシック・パーク」状態になるのではないか。

ボートでしかアクセスできない、施設と呼べる施設は一つの宿泊施設しかない、夜の灯りも多くない。

いくら見た目が可愛いうさぎたちといえ、野宿をする勇気は自分にはなさそうだ。

ちなみに、うさぎ島のインパクトが強すぎて、翌日帰り道に迂回して訪問した宮島の鹿には全く何も感じるものがなかった・・・