Rio de Janeiro

 ブラジルが大好きで、仕事でいけるなんて夢のようだと思っていたリオ五輪。


 「ブラジルで仕事をするのは、大変」とよく聞いていたが、着いて1週間、大いなる洗礼を受けた。


 予定なんてあるようで無いもので、スケジュールされていた記者会見やプレスツアーは直前でキャンセルになるし、ショッピングセンターで買ったSIMカードは、もう既に別の人が登録され使用中だし、手配した車の運転手は一方通行を逆走したりする。


 先日、聖火リレーのコースで運動部の記者の方と合流するためにタクシーを呼んだ。運転手は、オリンピックのおかげで(せいで)、交通規制が厳しくうんざりしていた。「オリンピックなんて早く終わればいいのに」なんて冗談めかしに言い合い、目的地へ向かった。お金を払い、「またいつでも呼んで」と連絡先の書いてあるカードをもらった。急いでいたので、ポケットにしまって「チャオチャオ」と顔も見ずに別れた。

少し歩いて、領収書をもらい忘れたことに気づき、「しまった・・・」とくしゃくしゃになってしまったカードの番号に慌てて電話をかけた。

名前はファビオというらしい。

「もしもしファビオ?さっき乗った日本人!領収書もらい忘れたから、ガソリンスタンドまで来て!」。「あー日本人ね!!5分で着くから待ってて(ウインク顔文字風)」。待っていると、目の前にいきなりタクシーが止まった。

顔半分を覆うくらいのサングラスかけ、ブロンズヘアでハイヒールを履いた女性が降りてきた。「ねえ、私の息子知らない?カヌーの選手で今から聖火持つっていうから来たんだけど。このへんかしら?」

「え?それ私に聞く?」と思いつつボランティアを探し聞いたりしているうちに、仲良くなり連絡先を交換した。「いつでも連絡して(ウインク顔文字風)」とやりとりをしているとファビオが領収書を片手に15分ほど遅れながらも颯爽と現れた。と同時に、奥の方から大音量が流れ、聖火リレーが始まった。走者を一目見ようと、たちまち人だかりができていた。


 さっきまで五輪に嫌気をさしていたファビオも自撮りを始め、盛り上げ上手なブラジル人たちに圧倒され、記者の方と合流しないといけないという当初の目標を忘れかけていた。今いる場所を急いで連絡すると「え?始まりました?そこ、予定ではゴール地点なんですけどね・・・」。


 想定外の連続で「そういえばそういう国だったな」と思い出して、また愛おしく思う。